キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの歴史

歴史

愛犬狂いの英国王室にしてしまったキャバリア

キング・チャールズ・スパニエル

17世紀にイギリス国王チャールズ1世と2世が溺愛していたことから、その名の通り、「キング・チャールズ・スパニエル」という名前が付けられていました。この時点では、キャバリアはついていません。

特にチャールズ2世は、昔の絵画に残されたこのスパニエルをなんとか復元しようと、賞金をかけてまで追い求めた犬種だったと言われています。

 

↑子供時代のチャールズ2世と彼の二匹のスパニエル

祖先はトイ・スパニエル

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの祖先は、1500~1800年代にイギリス王室や貴族の間で人気のあったトイ・スパニエルであると言われています。

英国王室には、小型愛玩犬、今のキャバリアの祖先にあたる小型スパニエル(トイスパニエル)飼いの大ブームがあったといわれています。

それはステータスシンボルとして連れ歩くだけのものではない特別な物でした。愛する対象としてであり、ヴィクトリア女王、ジェームズ一世、二世、チャールズ一世、二世、そしてスコットランドの女王メアリー・スチュアート、と彼らの犬に対する、常識からは考えられないような突飛なまでの溺愛ぶりは、歴史に数々のエピソードを残した程なのです。

動物は家族

この時代までは、動物を家族のように可愛がる風潮は世間にはなかったようです。

ところが、イギリス王室のこの愛犬トレンドは徐々にイギリス人庶民の動物に対する態度をも変えていったようです。

そして17世紀あたりから、街の中流階級者の間でも、動物を飼って、家族同様に子どものように可愛がる、つまりペットの所持が急速に増えていったわけです。

現代、イギリス人の動物好き気質は、少なくとも王室からの伝統に根ざすものと言っても過言ではないのです。

愛犬家の元祖

そして王室をこんなにも愛犬家に仕立てた張本人とは?
それはまさしくキャバリアに他ならないのです。

愛犬狂いの英国王室エピソード

キャバリアの名の由来にもなったチャールズ二世は、実は女好きもしかり🤣、その犬好きぶりでも大変有名だったそうです。何処に行くにも常に犬を抱えているから、周りの人に臭いともまで言われていたそうです。

会議の時などは話し合いよりも犬ばかりに気を取られていたと記されている。現代の国会で話を聞いていない議員さんと一緒ですね🤣

そして犬が逃げれば新聞に報酬金付きで広告も出したそうです。当時の常識では動物のためにそこまでするのはとても考えられず、大衆の笑い者にすらなったとか🤣

また、チャールズ二世の曾々母であるメアリー女王は、死刑執行される時にペチコートの下に愛犬のスパニエルを隠し伴なって処刑所に向かったという。

(1613年に描かれたメアリー・ステュアートの処刑シーン)

同様にスパニエル・ファンシャーのジェームズ二世は嵐の航海中、人間よりもまず先に「イヌを救出しろ!」と命令を下したそうだ。(ファンシャーとは犬種の愛好家)

ジェームズ二世はこの当時はジェームズ・スチュアート。危うく命を落とすところだったが難を逃れ、約3年後にイングランド王ジェームズ2世、スコットランド王ジェームズ7世として戴冠した。

この船は、最近海中で見つかりニュースにもなっていました。

2022/6/18Yahooニュース

英イングランド王ジェームズ・スチュアートを含む約330人を乗せて1682年5月6日に座礁、沈没した軍艦「HMSグロスター」。それから340年の時を経て、イングランド沖に眠る同艦の沈没場所が初めて明らかになった。

ブリーディングがイギリスで盛んに

こんな時代には、トイ・スパニエルをより愛らしく改良しようと、マズル(口吻)を短くするブリーディングが一時期イギリスで盛んに行われました。※1 下記に説明有

キャバリア

1900年代の初め、ロンドンのクラフト展にあるアメリカ人が訪れる。ところが彼はチャールズ二世の絵画に登場するような昔タイプのトイ・スパニエルがいないことに落胆したそうです。

「長いマズル、フラットなスカル、白い班のある頭部」を持つ昔タイプのトイ・スパニエルを探すため広告まで出し、ついにはそれを繁殖する彼の夢に一部の愛好家が応えてくれたようです。

1928年、かつての趣を失ったトイ・スパニエルを古来の姿に蘇らせることを目的にした「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル・クラブ」が設立。

徐々に個体数は伸び、“チャールズ国王に付き添うイヌ”、という意味の「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」の名で独自の犬種として公式に認められるようになったのだ。

1945年公認

現在の外見に近い形になり、1945年(or1946年)、イギリスのケネルクラブによってイギリス原産の犬種として公認されました。

ジャパンケネルクラブ(JKC)が傘下に入っている国際畜犬連盟(FCI)でも、コンパニオン・ドッグ(伴侶犬)&トイ・ドッグ(愛玩犬)のグループに属していることからも、それは明らかです。

※1 鼻の短い個体に人気が出るようになると、短頭犬種である「狆」や「パグ」との交配が進み、キングチャールズスパニエルの鼻はどんどん短くなっていきました。

この動きに反して、今度は本来のキングチャールズスパニエルの姿を取り戻そうとする人々が現れるようになりました。

そして鼻が短くないキングチャールズスパニエルは「騎士(ナイト)」を意味する「キャバリア」の名を冠した「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」と呼ばれるようになりました。

つまり現在は、もともとのキングチャールズスパニエルの姿をしているほうが「キャバリア」で、鼻が短くなったほうが「キングチャールズスパニエル」と呼ばれていることになります。

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