僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

病気

キャバリアの僧帽弁閉鎖不全

キャバリアキングチャールズスパニエルは僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種として知られています。

僧帽弁閉鎖不全というのはキャバリアだけの病気ではなく、小型犬には比較的多くみられる病気です。

キャバリアでの僧帽弁閉鎖不全症の発症は遺伝的な素因が関係していると言われ、他犬種よりも発症年齢が若いのが特徴です。多くの犬種ではシニア期以降の発症ですが、キャバリアの場合は4~5歳からの発症例も少なくありません。ただ、全く症状の出ない子もいないわけではありません。

初期には心雑音が現れるので、キャバリアと暮らす上では定期的な聴診は不可欠です。

キャバリアのこの病気を根絶するためには、5歳を過ぎるまで発症しなかった健康な個体だけを使って、ブリーディングすることが望ましいわけですが、残念ながらほぼ不可能でしょう。

5歳を過ぎてから出産となれば、母犬にとっても高齢出産になるわけで、現実的には難しいことです。このような状況から考えると、今後もキャバリアの僧帽弁閉鎖不全を根絶することはほぼ不可能に近いわけです。

心臓に、時限爆弾を持っているようなものですが、発症したとしても元気に過ごす子もたくさんいます。

そのためには、飼い主の正しい知識が必要となり、それによって普段とあまり変わらない生活を続けさせることが十分可能なのです。

僧帽弁閉鎖不全

僧帽弁閉鎖不全症は、『僧房弁』という心臓のドアがうまく『閉鎖』できなくなることで、一方通行であるはずの血液が心臓内で逆流を起こしてしまう病気です。心疾患のうち80%程度が僧帽弁閉鎖不全症といわれているほど多い病気です。

引用元:アニコム損保

心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁という二枚の薄い弁が、なんらかの原因で変性してしまい、弁が完全に閉まらなくなる状態をいいます。本来この僧帽弁は、心臓が収縮するときに心房と心室を閉鎖し、左心房へ血液が戻ることを防いでいますが、閉鎖不全が起こると、左心室から左心房へ血液の逆流が発生します。その結果、左心房や肺静脈の圧が上昇して肺における血液のうっ滞がおこり、肺水腫となって呼吸困難に陥ることがあります。この肺水腫という状態は、肺に液体がたまり酸素と二酸化炭素の交換がスムーズに出来ない状態のことであり、程度にもよりますが多くは緊急的な治療が必要です。

僧帽弁閉鎖不全症の罹患率の高い品種

犬種別で見ると、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのワンちゃんに多く見られることが分かります。後にはマルチーズ、チワワ、ポメラニアン、シー・ズーのワンちゃんが続きます。これらのワンちゃんたちは、動物病院での定期健診の際に、しっかりと聴診をして貰うことが大切です

引用元:アニコム損保

犬の僧帽弁閉鎖不全症の罹患率の年齢推移

年齢別で見てみると、4・5歳くらいから増え始め、7・8歳のシニアの年頃になると罹患率が急上昇してきていることが分かります。
男の子と女の子で比べると、男の子の罹患率が高いことも分かります。

引用元:アニコム損保

具体的な症状

・すぐ息切れをする
・咳をする
・なんとなく元気がない
・手や肢の先が冷たい
・散歩の距離が短くなった
・発作をおこす など

ある日突然に起こるわけではなく、少しずつ閉まりが悪くなり閉鎖不全の状態へと進行しますので、初期の少しの異常であれば、身体がそれに適応するからです。

重症化してくると、呼吸困難を起こしたり、チアノーゼを起こして舌が青くなったり、激しい咳で夜も眠れないというような症状がみられることもあります。

我が家の先代のモカも、亡くなる当日の朝は、チアノーゼを起こして舌が青くなっていたようです。当時は、知識がなく、本当にかわいそうなことをしてしまいました。

治療方法

投薬

投薬はあくまでも病気の進行を抑え、症状を緩和するだけのものです。すでに症状が出てしまっているペットの場合、投薬治療だけでは9カ月後の生存率はたったの50%しかないというデータが出ています。根本的な治療は外科的手術以外にはないのです。

しかし残念なことに、実はほとんどの獣医師がこの病気に対する手術を行っていません。
「僧帽弁閉鎖不全症」と診断した場合、大半の獣医師は飼い主に対して「投薬以外、治療方法はない」と説明します。藁にもすがる気持ちの飼い主は、何の疑いもなくペットの投薬治療を続けることになります。

結果として、この病気の特徴である肺水腫を繰り返し、呼吸困難を何度も経験。症状が重い時には、入院させるか、酸素室を自宅にレンタルする必要も出てきます。「僧帽弁閉鎖不全症」の投薬治療は、ペットの病気と向き合う心の痛みだけでなく、治療を続けるための金銭面でも大きな負担がともなうのです。

外科手術

大学病院や二次診療施設では、僧帽弁閉鎖不全症の外科手術が行えることがあります。
手術適応か否かは、それぞれの症状などにより決められます。
手術を希望される場合は、かかりつけ医に相談し、手術可能な病院を紹介してもらう流れになります。

まだまだ「僧帽弁閉鎖不全症」の手術を的確に行える医療機関は限られていますが、実績のある専門医は確実に存在しています。ただし、費用もそれなりにかかります。

最近ではクラウドファンディングを利用して、資金集めをする方も増えてきました。


引用 https://bit.ly/3yuOmEZ

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現代では、SNSを通じて呼びかけをすると、それなりに資金は集まるようですが必ずしも成功するわけではありません。

肺水腫とは

状態

血管からじわじわと液体がしみ出して肺に溜まり、酸素と二酸化炭素の空気交換がスムーズに出来ない状態です。進行した僧帽弁閉鎖不全症でよく認められます。

症状

酸素の取り入れがうまくできないため、苦しく、安静時でも頻回の呼吸や開口呼吸(口を開けて呼吸する)が見られたり、呼吸困難やチアノーゼ(酸素が体全体に行きとどかずに、舌や粘膜の色が紫色になる状態)、ゼーゼーという呼吸音や不安そうで落ち着かない様子などが見られます

治療法

緊急的かつ集中的な治療が必要になります。肺に溜まった液体を除去するために、利尿剤(尿を作り出すのを促す薬)を投与したり、少しでも空気交換を助けるため、酸素を吸入させたりします。また、心臓の収縮を強める薬や気管支拡張剤などを投与し、安静を保つようにします。

 

【症状のチェックリスト】

以下に僧帽弁閉鎖不全症の一般的な症状を挙げました。1つでもこのような様子がみられる場合には、動物病院に相談してみましょう。

□食欲がない

□元気がない、じっとしている時間が長い

□散歩中に立ち止まる、歩くのを嫌がるようになる

□カッカッという咳や、痰を吐き出すような深い咳をする

□呼吸がゼーゼーと荒くなったり、苦しそうにする

□舌や歯茎の色が紫色になっている

□足がふらついたり、失神する

現在、我が家のそらちゃんも8歳(2022.06)3か月前より、心音に雑音が出てきて薬を飲み始めました。カッカッという咳や呼吸がゼーゼーと荒くなったり、時々します。ただ、薬を飲み始めたおかげで、心臓の肥大は治まっているようです。うまく病気と付き合っていくことが大切です。

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